ポエム。マネージャーになってから実感した気持ち、残しておくぞ。
立ち位置
マネージャーと言っても会社によって役割が全く違うと思うのではっきり書いておく。
今のエンジニア組織はWebグループとMobileグループに分かれていて、自分はWebグループのマネージャーをしている。
WebとMobileを統括するグループマネージャーがいるので、Webグループのマネージャーは課長みたいな立ち位置なんだろう。たぶん。
Webグループは業務委託、インターン合わせても4,5人ぐらいの規模感である。
マネージャーになってからやっていること
- 1on1
- 評価
- 採用面接(新卒・中途)
- スプリントポーカー/振り返り
- チーム定例
- 開発案件決め
- OKR決め
- 他部署からの問い合わせ対応
上記+メイン開発をしている。
俺はマネジメントに集中したい、だがしかし。
自分としてはマネジメントに集中して、チームの生産性向上や採用、育成に全振りしたかった。
ただ、会社の状況・チームの規模感からしてプレイングも今まで通り求められる状況であり、シンプルに今までの生産性を落とさずにマネジメントもする必要があった。
最初こそ「いやそんなん無理やろ」と怒りを覚えていたものの、これは『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス ―テックリードからCTOまでマネジメントスキル向上ガイド』にも書いてあったことで、「ああこういう状態のことを言っていたのか〜」と少し客観的に見れて少し楽になれた。読んでおいてよかった。
各自の作業計画に不備はないかを確認し、プロジェクトを始動させてからはチームが実力を発揮して所定の成果を上げるよう、常に確認していなければなりません。 ...略
おまけに、以前と変わらない量のプログラミングの作業をこなして当然、とほとんどの上司から期待されるのが実情です。「ただもう責任が重くなり、仕事の範囲が広がるだけ」と言っても過言ではありません。
というわけで、おめでとう、あなたも「勝利の岩」を引きずる立場になったのです。その重荷を引きずって歩いているうちにたくましく鍛えられ、キャリアパスのさらなる高みへ登るのに必要なスキルを身につけられるでしょう。それに、これから先もずっとその「勝利の岩」が今感じているほど重いかというとそうとも限りません。
引用:『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス ―テックリードからCTOまでマネジメントスキル向上ガイド』
気持ちは楽になっても銀の弾丸があるわけもないので、泥臭く目の前のことをやりつつ、PRレビューの体制を整備し直したり、チーム全体でミーティングの日をある曜日に集中して時間を確保したり、そもそもOKRに期日をKRとして置いているから追われるようになってしまうんだと思いOKRを見直してみたり、色々足掻いていた。もちろん全部自分ひとりでやったわけではなく、チームメンバー全員が今よりもっと良くしようと色々試行錯誤した結果である。
いままで残業時間が月平均1時間だったのが、20時間ぐらいになった。時間としては大したことないが、相対的に見たら1→20で増えすぎワロタな状態ではあった。
マネージャーになっても大して権限は変わらない
これは会社によって全く異なると思うし、今の立ち位置上そこまでの立場じゃないのでまあそりゃそうという感じなんだが、「ああやっぱりそんなもんだよな」と思った覚えがある。本にも書いてあった。特にネガティブな感情でもない。
特別に予算が与えられるわけではなく、採用を自由にできるわけでもない。何かルールを変えるには今まで通り説得は必要で、その際の説得が少し楽になった程度の変化であった。
もちろん肩書がつくことによる説得力の増加の恩恵は結構ある。今までだったらあくまで提案までしかできなかったことも、実行まで移せるようになったのは大きかった。
ただ、やはり今思うのは、プレイヤー時代に「マネージャーになったらこんなこともあんなこともできるのに」と思っていたことは、別にプレイヤー時代でもできたかなと思う。実際に完了できるかどうかは別として、権限がないからできないと思っていたことは思い込みでしかなかった。役職がなんであれ、やる方法は無限にあった。
マネージャーになってよかったこと
メンバーの予想外の進化、予想外の積極的な行動が見れたときに「おおーなるほどそうなるのか!しかも俺がやるより良い結果!」となり、嬉しいことがある。
例えばスプリント振り返り会が惰性になっていると思ったメンバーが、振り返り手法をKPTから別のものに変えてツールもmiroを利用して会全体が楽しくなるように工夫してくれたり、課金周りの厄介な問い合わせ対応を率先して巻き取ってくれたりと、メンバーが自ら積極的な行動を取ってくれたときに感謝や喜びを感じる。
自分が全部巻き取って開発に集中できる環境を整えることも大事だと考えていたが、メンバーが別の会社でも「前職ではこんなことやってました!」と堂々と言えるような行動を促すことこそ大事なのだと思った。
また、1on1でもメンバーそれぞれ個性があることや、自身が成長するためにマネージャーを上手く使うといった行動も見られて、優秀だな〜と感じる場面が多々あった。
マネージャーになることで自然と視座はあがり、個人としてどうするかよりもチームとして、会社としてどういう行動を取るべきかを考えるようになった。エンジニアとしてというよりビジネスマンとしてどうするか、をよく考えるようになった。
昔は「楽しく開発できれば生産性もあがり、自然と売上も上がっていく」みたいな頭の中お花畑の考え方をしていたが、売上の大事さであったり全体最適の話だったり今の会社の状況での選択など、社会人として当たり前のことを今更ながら学んだりした。
エンジニアとしてDDDやクリーンアーキテクチャの設計の話をするのは楽しいし、今後の採用や保守コストを下げる観点からReact導入しよう!とか話すのはワクワクする。
でも金がないと何もできん。売上やコストを軽視してはあかん。エンジニアである前に、ビジネスマンであることを忘れちゃあかん。
マネージャーになってきつかったこと
チームやメンバーの進化に楽しさを見出していたため、プレイヤーとして開発作業への興味が薄くなっていた。薄くなっている状態でも今まで通りの生産性を維持するのは精神的にきつかった。
もちろん開発は今でも好きだし、個人開発もバリバリやっているのだが、シンプルに「今はそういう時期じゃないんだけどなあ、、、」という気持ちで開発をしていた。
この気持ちに対しては「良いマネジメントをするにはプレイヤーとして前線に立ち続ける必要がある」という考えを取り入れて、開発に対してのモチベを上げていた。ただ、やっぱり心の中ではマネジメントに集中して〜という思いが拭えなかった。俺が開発を進めるより、メンバーの生産性を10%でも上げるほうが全体的にみてええんちゃうんかと思ったりもした。プレイングの傍らでできるほどマネジメントって軽いもんじゃないだろ?!と思っていた。これに関しては今でもそう思っているし、特に落とし所を見つけられてはいない。
これからやっていきたいこと
開発メンバーが最高に気持ちいい環境で開発できることを目指していくのは変わらないが、セールスチームには商談で武器として使えるような機能を開発したいし、CSチームには問い合わせ対応だけではなくサクセスの部分により集中できるような開発体制にしたい。コーポレートチームには「うちの開発チームは最高です!」と会社紹介で言えるような開発チームにしたい。
会社全体が潤っていて、かつ静かなハングリー精神を持ち合わせれるようなそんな組織の一部として開発チームを位置づけたい。
終わりに
対話が必要である。対話を繰り返し一歩ずつ進んでいくしかない。